告知〜乳がんが分かったその日のこと〜
乳がんが分かったその日のことを書きます。
忘れもしません。2018年1月12日(金)のこと。秋に受 けた会社の健康診断で「再検査」となり、2週間ほど前に受けた 検査結果を聞くために、会社近くの病院に、朝9時に到着。 再検査では、「乳腺エコー」と、念のための「細胞針」 をしました。
エコーを見た先生からは、「しこりは確かにあるけど、つるんとし てるし、悪いものには見えない」と言われていたのもあり、 さっさと検査結果を聞いて、さっさと仕事に行くつもりだった私の 耳に飛び込んできた、人生最大の衝撃の言葉。
先生「残念ながら、悪いものでした」
頭をガーンと殴られた感じ、というあの表現は正しかったということを 知った瞬間でした。頭の中が真っ白になり、 徐々に視界も白くなって、先生の声が遠くなっていく、 そんな感覚を今でも覚えています。
先生「これからの事を相談しないといけないんだけど、今後は手術 を前提に考えて、専門の病院を紹介しますね。悪いものと言っても 小さいから、命にかかわるような状態ではありません。ただ、一般 的に治療は何年もかかるので、会社からの距離や自宅からの距離、 場所もきちんと考慮して、○○病院か○○病院あたりかなぁ? と思うんだけど・・・」
という話が耳には入ってくるものの(というよりも、後から思えば そんなことを言われたような気がする・・・)、それよりも大音量 の私の心の声が、先生の声をかき消すような、そんな感じ。
私の心の声「え!? どういうこと? 私、癌なの? え? そんなの困るし。これからどうすればいいの? 私、死んじゃうの?」
しばらくは茫然と、ただ診察椅子の小さな椅子に座っていました。
次に私が動き出したのは、看護師さんから渡された「紹介状を書 くのに必要な書類のようなもの」に、自分の名前を書こうとしたとき。
目の前が真っ白で紙が見えず、手が震えて文字が書けず、涙がボタ ボタと紙に落ちてきて、余計に紙に字が書けない。
それに気がつい た看護師さんが、「急に言われても、受け止められないですよね。 ごめんなさい。ゆっくりでいいですよ。ゆっくりでいいです。」と 背中をさすってくれました。その瞬間、押さえていた感情が溢れ出 し、大人になってから人前でこれほど泣いたことはない、ってぐら いに泣きました。
直後、猛烈な吐き気が襲ってきて、トイレにかけ込んで、朝食をも どしてしまいました。少し落ち着きを取り戻せたのか、診察 室の外の椅子に座って、必要書類に記入をしました。淡々と書くべき項目を埋めていく、ただそれだけで精いっぱいでした。
紹介状を受け取るために、夕方もう一度病院に来てほしいと言われ 、今日の診察代もその時でいいですよ、と言ってもらったので、と りあえず病院を出て、そのまま会社へ向かいました。
会社に行こうとか、 会社に行かなくちゃという気持ちがあるわけではなく、会社に行く という予定があったから向かう、ただそれだけで精いっぱいでした。いつ涙が溢れ出すから分からないので、電車に乗ることが出来ず、30分ぐらい黙々と歩きました。
私の人生が大きく変わった日の出来事でした。
2018年10月1日 たゆかのたわごと